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雌伏5年の進化と更新… 『ベヨネッタ3』

ベヨネッタ3』がついに発売!

 

2017年12月に制作発表されたはいいものの、以降なんの音沙汰もなく幾星霜…。2021年9月のNintendo Directでようやく具体的な続報があり、ホッと胸を撫で下ろしたものです。

そして 2022年10月28日、ついに『ベヨネッタ3』発売となりました。

 

発表からおよそ5年、待ちわびた万感を抱きながらプレイしました。
まだまだ遊び尽くせてはいませんが、ゲームクリアは迎えたのでレビューしておきたいと思います。

 

ベヨネッタ健在、より磨きをかけて

嗜虐の魔女・ベヨネッタが、四丁拳銃をはじめ多彩な武器を手足に携え、華麗に闘うアクションゲーム。
これまでは天使や悪魔との闘いでしたが、今作では謎の生命体ホムンクルスの襲来を迎え撃ちます。

 

 

そのアクションの魅力は、継ぎ目なく攻守を支配していく高揚感にあると思います。

手足織り交ぜたコンボの最後に叩き込むド派手な魔獣召喚攻撃。敵の攻撃をタイミングよく回避すると発動する「ウィッチタイム」。この相反する攻守2つの要素を繋ぐのが「ダッヂ オフ セット」と呼ばれる「ベヨネッタ」ならではのテクニック。コンボ攻撃を継続しながら、同時に敵の攻撃は見透かしたように華麗に回避していく。

なかなかどうして思い通りに決まってくれることにはコツを要しますが、ほかのタイトルにはない高揚感を味わえます。

 

 

魔獣召喚攻撃は、これまでの「ウィケッドウィーブ」から「デーモン・マスカレイドへとアレンジが加わっています。
前者は髪の毛を触媒にして魔獣を召喚するというものでしたが、後者(今作)は武器に宿った魔獣の魂が流れ込んでベヨネッタの攻撃やその身に影響を与えているという立て付けです。

 

メインの四丁拳銃で闘っている限りでは、使用感にさほど変化はないのですが―。

ほかの武器についても、シリーズおなじみの魔獣から初登場の魔獣まで、武器と魔獣が固有の一対となって設定されています。これは「ベヨネッタ」の戦闘において、これまで以上に武器の個性付けに寄与していると感じました。

戦闘以外の移動や探索においてもそれぞれの武器特有の能力を活用する場面が用意されていることも加味して、個人的にはシリーズのなかでも一際、四丁拳銃以外の武器にも愛着が湧いています。

 

その代償として、手足それぞれに違った武器を装備することが出来なくなりました。

四丁拳銃を操る「ベヨネッタ」ならではの特色だったので寂しいところですが、実際に互い違いの武器を装備する機会がどれだけあったかを考えると煩雑な要素だったとも感じます。
そういう意味では、道理の通った取捨選択だったと言うか、「デーモン・マスカレイド」という新システムは功を奏していたと感じました。

 

 

魔獣本体を召喚し指示を与える「デーモン・スレイブ」も、今作からの新システム。

その巨体で、ちょこざいな攻防お構いなしに薙ぎ倒していく様は痛快です。一方で、それって「ベヨネッタ」の戦闘の楽しさとはちょっと相容れない気もして、自分としては大型のホムンクルスを相手にする時以外は、ベヨネッタ自らのコンボに魔獣召喚を組み込む「ウインクスレイブ」の方を多用しています。

 

 

ストーリーのキーパーソンとなる新キャラ・ヴィオラを操作し、闘うパートも。

長刀を武器に、ベヨネッタとは異なる戦闘を繰り広げ、シリーズに新風を巻き込む。回避ではなくガードで「ウィッチタイム」が発動するなど、これまでにない戦闘スタイルをなかなか使いこなせていないのが正直なところ。…ってことで評価下すのは保留したい。

 

 

8年ぶりの進化と更新

発表から5年、前作『ベヨネッタ2』から数えると8年ぶりの新作と言うことで、戦闘以外にも進化ぶりが見受けられる場面も。
そもそもシリーズ第1作『ベヨネッタ』から『ベヨネッタ2』が、操作性のブラッシュアップなどが施されたものの、その大部分は踏襲されていたため、今作の変化は新鮮でした

 

 

チャプター選択やキャラクター設定、体力や魔力ゲージなどの画面表示…。

なかでも驚いたのが、本編途中に挿入されるチャレンジ異空間「ニブルヘイム」(シリーズでは代々アルフヘイム、ムスペルヘイムと呼ばれてきた)。
画像で示したようにワープ地点を発見すると、チャレンジ条件がポップアップ表示され、暗転を挟まずに遷移する演出が図られていて、初めて見たときは「おおっ!」となりました。

 

理想は完全にシームレスに遷移することだったと思われます。スイッチの性能では限界があって相応のロード時間こそ掛かってしまいますが、こういったUIまわりがきちんと更新されていたのは嬉しいポイントでした。

 

 

世界の都市をめぐる

2021年9月のトレーラーでひときわ目を引いた、渋谷を舞台にした戦闘シーン

これまでのシリーズで舞台となったヴィグリットやノアトゥーンにもモデルとなった都市にあるらしいのですが、今回は「東京・渋谷」などと地名まで表示される徹底ぶり。
この街をベヨネッタが華麗に暴れまわり、果ては魔獣と大型ホムンクルスが規格外の破壊を尽くしていく。

 

舞台となるのは東京だけではなく、ほかにもいくつかの国を巡ります。

その様子は、発売直前に公開されたトレーラーでも垣間見ることが出来るのですが、自分はプレイするときのお楽しみにと見るのを控えていました。

結果、大正解でしたね。
行くところ行くところ、どれもに鮮烈な印象を受けるロケーションが用意されていて終始、楽しいプレイになりました。

 

なかでも某都市は、その国ならではのストーリーが繰り広げられ、シリーズファンとしては意表を突く新たな魔獣&武器を従え、ボス戦の趣向に魅力されて… と、ユーモア溢れる展開尽くしで最高でした。

 

 

一方で、各都市をめぐることになる理由やストーリー展開については、それって「ベヨネッタ」としてどうなの?という戸惑いを覚えたのも本音なのですが。
裏を返せば、『ベヨネッタ』『ベヨネッタ2』で一度は綺麗に完結したストーリーの枠に収まってはいられない、「ベヨネッタ」というシリーズあるいはキャラクターに対するプレイヤー側が抱いていた価値観が更新されていくような感覚も味わえました。

 

なにより、あの最終チャプターの光景を見せられたら言うことなしです!
戸惑いを一蹴するような圧倒的なクライマックスには、胸が高鳴りっ放しでしたね。

ちなみに…英語版声優の降板騒動。続投破断から決裂までの間に「カメオ出演」を交渉していたフェーズがあるようなのですが、それが「あのシーン」のことだとしたら、粋だっただろうな…と返す返すも残念。
■『ベヨネッタ3』で降板した英語版元声優のギャラオファーは「声優の主張する額よりもっと高かった」との報道。食い違い続ける主張 - AUTOMATON

 

 

ベヨネッタの新たな世界線

あらためて。発表からおよそ5年、本当に待たされましたね。
Nintendo Directのたびに嗚呼、今回も続報がなかったなー、って。

 

でも、その裏ではちゃんと5年以上にわたって愚直に作られていたんだなー、と実感させてくれる内容だったのが嬉しかった。
ベヨネッタ3』は待たされた甲斐のある素晴らしいタイトルでした。

 

クリア後には恒例のやりこみ要素も健在。

ベヨネッタ2』で散々苦しめられた「あの闘い」もある模様。ヒエッ。
今作もそこまで踏破できるかは分かりませんが、「ベヨネッタ」が切り開いた新たな世界線をまだまだ存分に楽しみたいところです。