昨日、『キングオブコント2019』が開催されました。
昨年同様、今年も決勝進出者は伏せられたまま、生放送のまさしく出番が来たときに明かされるルールを踏襲。昨年のレビューにも書きましたが、そのルールを成り立たせるために準決勝で落選通達されたコンビも含めて箝口令を敷かれてしまうのは弊害が大きすぎないか…という危惧もあるのですが。
「次にどのコンビが出てくるのだろう」というワクワク感はほかの大会にはない特色になっているので、今のところは存続してほしいかな。
■新鋭トリオの熱演「キングオブコント2018」 - かんづめステップ
…と言うことで今年の『キングオブコント2019』と、あと合わせて『歌ネタ王決定戦2019』も見ていきたいと思います。
キングオブコント2019
「♪おおーきなイチモツをくださいー」の破壊力
今年、チャンピオンの栄冠に輝いたのは、どぶろっく。
昨年の『歌ネタ王』でも披露した、下ネタコント。切実な場面から急転直下で「♪大きなイチモツをくださいー」と雄々しく歌い上げる、もはやお手本のような緊張と緩和が見事なコント。
『歌ネタ王』と比べても、より緊張感の高まった『キングオブコント』の舞台での披露となると、そりゃあ爆発も呼びますわ。
『歌ネタ王』のときにはなかった新しいパートや、最終決戦での2本目もいい展開を盛り込んでいて期待を裏切らなかった。おまけにネタ終わりのコメントでも巧みに下ネタを挟み込んでくる。
『キングオブコント』で、こんな下ネタど真ん中のコントが優勝してしまう、そんな杞憂を吹き飛ばす納得の優勝でした!
…ただまあ、審査員5人が満場一致でゲラゲラ笑って一律高得点になっちゃうのは、やっぱりちょっと偏ってるよなあ、と思っちゃったのも正直なところ。松本人志、さまぁ~ず、バナナマンという審査員5人看板っていうのはそろそろメスが入ってもいいのかも。
新鋭の勝負
今年注目株として方方から名前が挙がっていた、かが屋。
きっちり決勝進出を果たしていたのは嬉しかった。
かが屋と言えば、何気ない日常から機微を突いてくる着眼点や演技力が持ち味。喫茶店を舞台にした今回のコントも、繊細な構成の上に成り立ってる感じでとても好きだったのですが…、出番順がどぶろっくの直後というのはかなり割りを食ってしまったんじゃないでしょうか。
もしかしたら、「新幹線で友だちに会うコントやって、2本目で帰りの新幹線で伏線回収して泣かすようなコント」やってたら優勝できたかも?(『アメトーーク』もっと売れたい芸人より)
空気階段、ネルソンズも面白かったけど、得点としてはいまひとつ奮わず歯痒かった。そしてネルソンズと言えば、青山フォール勝ちがTBSの番組収録で全治8週間のケガを負ったところ。それを感じさせないばかりか、ネルソンズ自身からはそこを笑いにしなかったのも立派だった。
■ネルソンズ青山、肩骨折もKOC出場 浜田の強烈イジり受けるも「元気です!」 | ORICON NEWS
そんな新鋭のなかから大きく爪痕を残したのがうるとらブギーズ。栄えある準優勝!
一度、『ぐるない・おもしろ荘』に出てたのをかすかに覚えているけど、ほぼ初見のコンビでした。正統派コントで、突出したボケはなかったかもしれないけど、だからこそ安定感も感じさせるクオリティの高い内容だった。
今日さっそく『サンデージャポン』や『アッコにおまかせ』に準優勝コンビとして生出演していたりして(どぶろっくが忙しいからその代わりってのもあるけど)、ここから活躍していくかもしれないので注目していきたい。
新たな主戦場となるか、ジャルジャル
キングオブコントとしては9年ぶりの決勝進出というのが意外だった、ジャルジャル。
『めちゃイケ』が終わり、『M-1グランプリ』もラストイヤーを迎えて、今一度キングオブコントを主戦場と捉えて焦点を当ててきた感じでしょうか。
独創的な発想のもと、一捻りも二捻りも加えた構成は折り紙付き。いつ見ても面白い。
それだけに最終決戦で披露したコントで、設楽の審査コメントでも触れられていた通り、暗転のあともっと予想外のことが起こっていてほしかったですね。ジャルジャルなら、もっとすべて引っくり返すようなオチがあるんじゃないかと期待してしまう。そこが完璧に決まっていれば、あるいは違った結果が生まれてきたのではないか、と夢想してしまう。
すでに長らく第一線で長らく鎬を削り続けているのに、さらに飛躍を求めるのも酷なレベルだけど、今後ジャルジャルには栄冠を掴んでほしい。
第7世代には負けられない?
昨年度の賞レースは、いずれも20代コンビが席巻し話題を呼びました。
『R-1ぐらんぷり2018』濱田祐太郎、『キングオブコント2018』ハナコ、『M-1グランプリ2018』霜降り明星、『R-1ぐらんぷり2019』霜降り明星・粗品…
そして、霜降り明星・せいやが提言したことに端を発する「お笑い第7世代」という括りも機運が高まり、新たな潮流になろうとしている。
今年の『キングオブコント』は、言うなればそんな第7世代の台頭に、素直に負けていられないという手練の意地が垣間見えた大会だったように感じました。
『キングオブコント』に限らず種々の賞レースで、この第7世代との対決は大きな見どころになっていくんじゃないでしょうか。そして自分的にはやはり第7世代側を応援したい気持ちでいます。
ゆくゆくは、と言うか本当は今すぐにでも第7世代だけでゴールデン番組持つような展開をぜひ見てみたい!
歌ネタ王決定戦2019
自分的には勝手にキングオブコント前哨戦という位置付けで見ている『歌ネタ王決定戦2019』…と昨年は単独記事で書きました。ただ、今年は昨年のメンバー登場ほどの鮮烈さには欠けるかな…という感じなので、この記事のなかで合わせて触れておきたい。
■脱・前哨戦へ?「歌ネタ王決定戦2018」 - かんづめステップ
『歌ネタ王決定戦』は文字通り、歌ネタ限定の賞レース。MBS主催なので放送は関西ローカルながら、全国的に活躍している芸人も出場し、今後の活躍へも繋がる大会になっています。
ラニーノーズ、悲願の優勝
3年ぶりの決勝進出で優勝を掴んだラニーノーズ。
関西拠点の歌ネタ芸人、というこの大会にはうってつけの存在ながらここ数年苦戦を強いられていたので、この優勝は嬉しい。
一方で、個人的には今年のネタはちょっと食指が合わなかったのでちょっと首を傾げる思いも。音楽性が以前より進歩している、という評価も加味されていたりしたら、音痴な自分には判断つかないので納得せざるを得ないんですけどね。
昨年優勝のメンバーは、今年も引き続き出場ながら奮わず…。
リズム漫才が昨年からきちんとパワーアップしていて楽しすぎたんだけど、やはり同じ手では点数としては伸びなかったか。昨年100点付けちゃったうちの1人、友近が今年は出場者に行ったのも響いたかな。
…ってことで、友近&ゆりやんレトリィバァ。もう、くっだらないw の一言に尽きます。
ナイツもそうだけど、こんな歌ネタ思いついちゃった、こんなネタやりたいのひと思いで、売れっ子芸人でも肩の力を抜いて存分に披露できる場だというのも、この大会のいい位置付けだな、と感じてます。今後もこういう枠は残してほしい。
ただ、さすがにそれで優勝までされちゃったら、ほかの若手は堪ったもんじゃないかもしれないけどね。
『キングオブコント』と違い、こちらは見ている側も肩の力を抜いて気楽に楽しいネタが来年以降も続けばいいな、と期待してます。